柄にもなく落ち込んでいるあの子の心の中を、
何故か何も語らない彼女の腹の中を、
少し暖かくなったせいで形を失った私の溜め息を、
目に見えないものをじっと見つめる。


何も気づいていない振りをしてやり過ごすのが一番楽だって思う。でもそうやって見過ごしてしまった事や、修復できないぐらいに深いヒビが入ってしまった事もある。受け止めるべきか、流すべきか。関わるべきか、知らぬ振りをするべきか。何だか一瞬の判断ミスで、今まで築き上げてきた大切なものを壊してしまいそうな気がして怖い。でも、このままじゃいけないっていうのは確か。失う前に、壊れる前に。彼女が旅立つ前に。